【企業視察レポート2】千代むすび酒造

2019-03-27

鳥取から世界にはばたく 進化する老舗 千代むすび酒造
 

少々前になりますが、鳥取・境港市の老舗酒造・千代むすび酒造さまを視察してきましたので、その模様を報告します。

150年以上の歴史を紡ぐ老舗の造り酒屋

千代むすび酒造は、1865年(慶応元年)に創業した、154年の歴史のある酒造会社で、現在の岡空晴夫社長が5代目にあたります。

「千代むすび」という名前の由来は、「永久に変わることのない 人と人の固い結び、絆」を意味しているとのこと。

みんなの幸せ

自然の恵みを、美味しく、楽しく、健康つくり

という経営理念のもと、日本酒を主とした発酵食品の製造販売だけでなく、これを軸にした地域振興にも努めておられます。日本酒のほか、焼酎、梅酒、発酵食品、甘酒なども手がけています。

地域に貢献する、というのは、まずは地元の農産物を活用すること。お酒に使われる米は、鳥取県産の「強力」米を活用。

そして酒蔵が境港の駅前、街の中心地にあることもあり、酒蔵を開放して観光客などに見ていただくだけでなく、地元の物産・銘品の販売店を併設し、さまざまな形で境港の良さを味わっていただこうと努力しています。

 

海外に積極展開、ロンドンの高級レストランで高い評価

老舗企業とはいえ、日本酒の国内消費が低迷している中で、生き残りに向けて強い危機感を持ち、晴夫社長は海外展開、派生製品の開発、新分野への進出などを積極的に行っています。

現在では、海外18カ国にて販売し、なんと海外販売比率は22%。鳥取の地元企業かと思いきや、立派なグローバル企業に発展しています。

韓国に子会社も設立し、日本酒・焼酎の販売・マーケティングを積極的に行っています。

2018年5月には、「ロンドン酒チャレンジ」に出品、「大吟醸 袋とりしずく酒」がトップのプラチナ賞を受賞したほか、スパークリング日本酒「SORAH」がシルバー賞を受賞する等、海外の愛飲家にも高く評価されるに至りました。

その結果、SORAHはロンドンの高級レストランなどからの注文が殺到、日本で大瓶が手に入らない状況までになっています。

 

社長の行動力とアトツギの努力・勉強

この原動力は何か。晴夫社長の娘婿にあたる岡空聡氏(社長室長)に伺ったところ、社長ご自身の行動力にあるとのこと。

この勢い、成長力をいかにさらに強めて次世代に引き継いでいくのか。岡空聡氏は地元の大手地方銀行に勤め、法人営業などに従事していました。晴夫氏のお嬢様と結婚され、当社に入社されて、現在は社長室長でありつつ蔵にて酒造りを自ら一から学んでいるとのこと。酒造りを知らなくては後をつぐわけにはいかない、という聡氏の強い決意もあり、営業や経営の勉強だけでなく、酒造りにも励んでいるとのこと。この姿勢が晴夫社長にも頼もしく映っているものと思われます。

事業承継において、最も大切なのは会社を永続的に発展させる道筋を創りながら、次世代が活躍できる会社を創っていくことにあると思います。その意味で、聡氏の奮闘ぶりは大変印象的でもありましたし、これを見守っておられるであろう晴夫氏の姿勢が垣間見られるものでした。

「千代むすび」を造り、販売する会社の社員同士が固い絆で結ばれ、そのお酒をたしなむ方々の幸せをつくり、また人と人の固い結びを創っていくことを願っています。

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