そのM&A、正しく行われていますか?〜M&Aにおけるセカンドオピニオンの重要性

2021-08-20

企業戦略コンサルティング、事業承継支援、SDGs浸透支援など「企業とそこで働く一人一人が輝くためのサポート」を幅広く行うソーシャルキャピタルマネジメントです。

今回は、近年急増している中小企業の事業承継M&Aについて、企業経営者にとって悔いのないように進めるための方法についてお話をしたいと思います。

事業承継のM&Aが増えている

中小企業庁によると、2025年までに70歳を超える中小企業の経営者で、後継者が未定なのは127万社あるとのことです。
中小企業は日本の企業のうち97%を占めており、このままでは日本経済の根幹を揺るがすものとして政府も事業承継支援に注力しています。
このような現状を受けて、会社の経営を他の会社に引き継ぐ、いわゆる事業承継のM&Aのニーズが拡大し、それに伴い売り手と買い手をつなぐ仲介会社も急増しています。

M&Aの仲介業務は、企業としても政府の許認可が必要なわけでもありませんし、アドバイザー個人としても士業などの特段の資格を必要としていないのが現状です。
したがって、M&Aについての専門知識がない人でも参入しやすく、「初心者でもできます」といった広告も散見されますし、中には手数料を取りながらそれに見合った十分なアドバイスが行われていない場合もあります。
特に売り手と買い手の両方から手数料を取る「両手取引」が一般的であるかのように行われていますが、M&Aが盛んな欧米ではこのようなことはほとんどありません。
いかに日本のM&Aを取り巻く状況が発展途上にあるのかがわかります。

そのような中、中小企業庁はM&Aを巡るルールの整備を進めていて、近くにM&A支援機関(仲介業者)の登録制度を導入するほか、自主規制団体の設立などを目指して最終調整に入っています。
M&Aの需要はこれからも増え続けると思うので、このようなルールや秩序ができることで、より安心してM&Aに臨めることと思います。

売り手となる企業オーナーから見ると初めての経験



M&Aは、買い手や仲介会社にとっては何度もある経験かもしれませんが、売り手である中小企業経営者にとっては初めての経験であり、またこの先も経験することのない生涯一度きりの経験になることが多いです。
そして、これこそが仲介会社の言いなりになってしまうリスクが潜むところでもあるのです。

事業承継におけるM&Aでは、双方で多くの取り決めをしていくわけですが、この時に売り手となる企業オーナーは根本的な考えや方針を明確に持っておくことが必要です。
後になってから悔いのないように進めるには、「譲れるもの、譲れないもの、守りたいもの、手放してもいいもの」など、基準や軸を持っておくことが大事です。
仲介会社は、顧客に対する忠実義務、善管注意義務を負っている立場でありつつも、自社の利益も優先して動くことも少なくありません。
仲介会社としては、手数料をたくさんもらえることにインセンティブがありますので、売り手である企業経営者にとって納得のいくものでなくても、何とか案件をまとめようとする力が働いてしまうということです。
そのため、売り手企業に寄り添い、親身になって最適な提案をしてくれるとは限りません。
仲介会社の言いなりになって後々後悔することのないように、例え初めての経験でも当事者意識をしっかりと持って臨むべきです。

売り手の知識不足も、不本意なM&Aが多発する一つの要因になり得るので、売り手となる企業経営者の皆さんは、自社の将来を託すM&Aを仲介会社任せにするのではなく、自らが率先して内容の隅々まできちんと精査する必要があるのではないでしょうか。

仲介会社はどちらの味方になりやすいのか?

売り手となる企業オーナーは、仲介業者にとっては言ってしまえば一期一会のお客様です。
しかし、買い手となる企業は今後も顧客になる可能性が高いので、M&Aではどうしても売り手の意見を尊重してしまう傾向にあります。
日本ではM&Aに対する理解が遅れているため、「売る=負け、恥」と思ってしまう企業オーナーもいるようで、そのような意識を持ちながら交渉を進めると、相手から不利な条件を提示されたとしてもNOと言えない可能性があります。

このようなアンフェアな売買にならないためにも、仲介業者は公平公正な判断ができるところを選ぶべきです。
売り手企業と買い手企業に対する深い理解と洞察があることはもちろんですが、M&A後の引き継ぎや自走するまでのサポートなども含めて、長期的な視点でM&Aを考えている仲介業者にお願いをするべきでしょう。

セカンドオピニオンをとる必要性について

さて、私たちソーシャルキャピタルマネジメントのミッションの一つとして、M&Aのセカンドオピニオンを提供することがあります。

売り手であるオーナー経営者の立場で、仲介業者の提案を精査し、他の可能性も探りつつ、オーナーとして納得できるような最適解を見つけることが私たちの役割でもあります。

その過程で最も大事なことは、売り手(あるいは売り手企業のオーナー)の考えを整理し、紐解き、本当はどうしたいのかを明確にすることにあるのではないかと思っています。
それはまるで「ぶつかり稽古」の相手方と一緒ですね。考えをぶつける相手がいることによって、自分の本音がわかる。受け止めて、跳ね返して、その繰り返しで本質が引き出されていくのです。

私たちは話を無理にまとめようとしたり、ある方向に誘導したりはしません。
ひたすら一緒に悩み、一緒に考えます。さらに言うと、相手の悩みを想像します。
売り手企業にとっては一生に一度あるかないかのM&Aなので、一片の悔いも残らないように誠意を持って伴走することを使命と考えています。

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