【企業視察レポート1】宮大工・匠弘堂

ソーシャルキャピタルマネジメントでは、様々な企業向けコンサルティング、ファミリービジネスへのアドバイス等を行っております。その一環で、様々な企業への訪問、工場見学などを行っております。


その中から、きらりと光る企業を「企業視察レポート」の形でご紹介していきたいと思います。

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ひと筋に打込む そこに道は開ける

2019年2月22日、Design Week Kyoto 2019のイベントの一環として、宮大工として寺社建築を担う匠弘堂(京都府京都市)を見学してきました。

【沿革】

当社は、宮大工という日本の伝統的な建築手法を受け継ぎつつ現代に寺社を建設する事業を行いつつ、2001年(平成13年)に創業した新しい会社です。社長の横川総一郎さんは、もともとは電気機械メーカーに勤めていましたが、建築設計に興味を持ち、設計会社で仕事をする中で寺社建築案件に出会い、またそこで一緒になった岡本弘氏の薫陶を受ける中で宮大工の仕事の醍醐味に惚れ込み、2001年に3人で創業したとのこと。

【経営理念】

当社では、宮大工という仕事についての高い誇りと責任感を持ち、100年、200年続く建築物を責任もって作っていく、という観点から、「宮大工として生きる」を経営理念を掲げています。その意味しているところは、下記の3点になるとのこと。

一、品質力

「宮大工の仕事」であるという誇りと責任を持ち、

お客様の満足が得られる高い品質を提供します。

一、人間力

常に「宮大工」という公人であることを自覚し、

心からものに感謝し人に感謝することで、人間として成長し続けます。

一、技術力

伝統技術に創意工夫を加えた、「匠弘堂」にしかできない高い技術力で、

世の中になくてはならない「宮大工集団」を目指します。

【ひと】

現在は社長のほか正社員が12名、平均年齢は32歳。伝統技術を担う会社というと高齢化、後継者問題を抱える会社が多くなってしまっている中、若くエネルギーあふれる会社です。

(人材育成の考え方:ホームページより)

匠弘堂の宮大工は、その大半が20代、30代の若者です。

そして、そのすべてが正社員です。その現場限りの大工はおりません。

それは、宮大工という仕事は100年も200年も先を見据える仕事だからです。

建物の美しさはもちろん、この先どこまで持たせることができるか…

これが、宮大工としての大きな使命。

そして、その礎となるのが「技術」です。

人を育てること=技術の継承 と匠弘堂は考えています。

だから、宮大工はすべて正社員とし、責任を持って育てていきたい、

育っていってほしいと願っているのです。


イベントでの見学は、社長からの会社の紹介、寺社建築の面白さの説明、実際の国宝の蛙股の絵をトレーシングするワークショップなどを経て、工場見学、かんながけの体験などが行われました。


帰りに有馬専務から伺った下記のコメントが、この会社で働くすべての人たちの美しい思いを代表しているように思いますので、ここに紹介します。


「大事にしているのは社員が感じる「作る喜び」。職人がどれだけ自信を持てる建築に仕上がったかどうかは、お客様への引き渡しを行うときにお客様に見抜かれる。それは職人の顔に表れているから。プレカットのような建築では、建てた職人の思いが建物にのらない。万一納めた建物に不具合があったとしても、他人に責任を転嫁することにもなってしまう。しかし自分で1から10まで全部作った建物の場合には、一つ一つを仕上げるときに、これが間違えていたら自分の責任、という気持ちを込めて一つ一つの作業を行っている。この充実感が、引き渡す際の顔に表れる、ということ。」



伝統を引き継ぐのは、必ずしも同じ会社が連綿と引き継いでいかないといけないわけではない。その伝統と技術の深い意義を理解し、共感し、これを継いでいきたいという強い思いを持った人がやっていけば良い。そんな思いを感じさせる、創業18年の伝統産業の担い手でした。