191130 事業承継学会に参加しました

2019年11月30日(土)、ハリウッド大学院大学にて行われた第10回事業承継学会年次総会に出席しました。

分科会については、今回参加したのは下記の3先生方の発表でした。


(1) 後藤俊夫氏(日本経済大学特任教授)

「学校教育における事業承継の位置づけ」

後藤先生は、「日本企業の97%を中小企業を占め、財務的業績でも優位性がある会社が多い、その事業承継にあたっては世代間の相互理解やコミュニケーションの重要性が増加しているにも関わらず、学校教育の過程で「家業」や「承継」について触れられる機会がない」ということへの問題提起でした。

核家族化の進展や、「家には仕事を持ち帰らない」という考え方が強まる中で、子どもが親の仕事について知らないことが増えているのは実感します。親の仕事を知ることは、親がいかに頑張ってきているかを学ぶことにもなり、親への感謝、尊敬にもつながるものと考えます。

後藤先生は義務教育課程の中学校の教育の中に入るべきではないか、との問題提起をされておられましたが、親の勤務環境も多様であり、また親子間に難しい問題を抱える家も多い(シングルマザー問題なども含め)中で、義務教育の中で一律に行うのが妥当か、あるいは関心を持つ人たちに対してのオプションとして考えるべきか、私は後者の方が望ましいのではないか、考えています。今後のさらなる研究につき学んでいきたいと思います。


(2) 大山美和氏(ファミリービジネス事業承継研究所)

「事業承継における妻と母という位置づけ」

大山氏からは、事業承継において後継者育成が重要であり、後継者の母の役割が重要である、という点について実証事例を含めた報告がなされました。後継者の母が、現経営者と後継者の橋渡し役、仲介役でもあり、感情面のケアを行う立場、内助の功として果たす役割などにつき強調しておられました。

人格形成、家業への理解、存在意義の理解、家業を継ぐことへの責任感の醸成、という観点で、母親の役割が大きい、というのは認めるところであります。

一方で、昭和女子大学「跡取り娘」養成コースで、女性後継者(後継候補者)の方々の教育に携わると、母親に「内助の功」としての役割が強すぎる結果、跡取り娘が「会社をサポートすることはできても自分が会社の経営を担っていくことは難しいのではないか」と逆の先入観を植え付けてしまってはいないか、という感じも持っています。創業者が社長を務め、奥様が総務、経理などを担当する、というのはよくありますが、その姿を長年見てきている娘が、後継者として、会社全体(営業、製造、商品開発なども含め)を経営するのが難しい、と思ってしまう人も多いようです。

今後、こうした観点から、当社においても実証研究を進めていきたいと思います。


(3) 桐明幸弘氏(ファミリービジネス事業承継研究所)

「親族外事業承継における正しいM&Aの進め方」

桐明氏の発表は、最近急速に増加している事業承継M&Aについて、そのプロセス、アドバイザーの関与の仕方などについて警鐘を鳴らすものでした。当社からも昨年12月の第9回事業承継学会にて「事業承継M&Aの現状と課題」について発表をさせていただきましたが、そこからさらに深堀するものと感じました。

「M&A仲介業者の機能劣化」「マネーゲーム的なM&A仲介業者が多くなってしまった」といった問題提起がなされました。

当社でもファミリービジネスアドバイザーとしての業務、取り組みを通じ、さまざまな企業経営者やアドバイザーにも会いますが、オーナー経営者がアドバイザー(M&A仲介業者を含む)に強く期待するのは「人間力」です。「人格」と「品格」を持ち、オーナー経営さが長年大切にはぐくんできた会社を譲り渡すという一大決心に寄り添う姿勢が何よりも必要と考えます。

最近のM&A仲介業者の中には若手社員も多く、給与や賞与が高いことに吊られてこの業務に従事しているものの礼儀も口のきき方もわきまえていない人が散見されるのは非常に残念なことです。桐明氏の発表に示されるような、「正しいM&Aの進め方」が改めて確認されるよう、当社としても努めてまいりたいと思います。