240827 M&A仲介会社の営業姿勢と業務遂行の信頼性に関するアンケート調査

2024-08-27

ソーシャルキャピタルマネジメント代表の小林は、「事業承継学会」会員として、事業承継M&Aに関する現状と課題をリサーチする「事業承継M&Aリサーチプロジェクト」を本年6月に組成し、他のメンバーとともに中小企業経営者等を対象とした実態調査を行っています。

2024年8月27日、その調査がまとまったので、プレスリリースを行いました。

その内容を下記のとおりご報告します。

 

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2024年8月27日
一般社団法人 事業承継学会
事業承継M&Aリサーチプロジェクトチーム

事業承継M&AにかかるM&A仲介会社の営業姿勢と業務遂行の信頼性に関するアンケート調査結果(速報)の公表について

M&A仲介会社の営業姿勢には中小企業経営者等の75%がネガティブな印象を抱いていることが判明

 

一般社団法人事業承継学会において2024年6月に発足した「事業承継M&Aリサーチプロジェクトチーム」では、中小企業の経営者・後継者・経営幹部および中小企業むけ経営支援者に対して「事業承継M&A仲介会社の営業姿勢と業務遂行の信頼性に関するアンケート調査」を実施しました。その結果の速報版をまとめましたのでこれをお知らせいたします。

 

<調査実施の背景>

「事業承継」が日本経済の活性化において重要なキーワードとなっており、その有効な解決方法としてM&Aが推奨され、M&Aを推進するために仲介業者の登録制度まで整備されるようになってきています。事業承継の手段の一つとしてのM&Aは重要であり、後継者の居ない中小企業においては、親族内承継、親族外承継(内部昇格)と並んで経営を承継するための有効な手段であることは間違いありません。

 

しかしながら、近年、中小企業のM&Aが活発化している一方で『M&A仲介でのトラブル事例』も増加してしており、マスコミ各社が「M&A仲介で、中小企業をカモにする悪徳ブローカーの実態」についてなど、被害者たちの声などを交えながら報じている通りです。

 

そのような背景の中で、事業承継学会「事業承継M&Aリサーチプロジェクト」においては、「M&A仲介業者への実態調査」 ではなく、 「事業承継の当事者であり現実の事業承継問題に直面する中小企業の生の声」を調査して、検証し、この問題の解決のために少しでも役に立ちたいと考えて実施したものです。

 

<調査概要>

調査目的: 事業承継M&A仲介会社の営業姿勢と業務遂行の信頼性に関する調査
調査対象: 中小企業の経営者・後継者・経営幹部、中小企業むけ経営支援者
調査方法: インターネットを通じての独自アンケート調査
調査期間: 2024年6月26日~7月31日
有効回答: 126名
(中小企業の経営者・後継者62%、中小企業の経営幹部5%、中小企業向け経営支援者33%)
調査対象地域: 日本

 

【1】M&A仲介会社の営業姿勢に関する評価

 

M&A仲介会社の営業姿勢に関する評価としては、ネガティブな印象を持っている人が75%超(「非常に悪い」「どちらかと言えば悪い」の合計)を占め、特に「非常に悪い印象をもっている」人も24%にものぼった。

 

(1)良い印象を持っている、ということでそのポイントを記載してくれた回答者は31名(25%)。
具体的には「プロセスの説明」「実績に基づいたアドバイス」が高く評価されていた。

 

(2)悪い印象を持っている、ということでそのポイントを記載してくれた回答者は93名(74%)。
具体的には「当方の事業や経営への理解」がなく、「手数料目当て」であることへの悪印象が強く表れた。

 

 

(3)悪い印象を持つに至った具体的な事例についてフリーコメントでの記載をいただいたところ、70名がフリーコメントの記載を行った。その中をカテゴリーに分けると、「営業コンタクト(DM、電話、メール)」「企業への理解」「代表者との関係」「相手企業に関する情報提供」「営業担当者の態度」「仲介手数料」「ノウハウ(企業価値、利益相反への理解など)」と多岐にわたった。
営業コンタクトにおける実例も調査参加者から紹介いただいたが、その中には上場しているM&A仲介会社ですら同様の行為を行っている実態が明らかとなった。

 

 

【2】M&A仲介会社の業務遂行の信頼性

 

仲介業者が案件遂行を行うにあたり信頼できたか、という問いに対しては、「全く信頼できなかった」「信頼できなかった」の合計が40%に達し、「非常に信頼できた」「どちらかといえば信頼できた」の合計の15%を大きく上回る結果となった。

 

M&Aの専門家としてのハードスキルである価格、条件交渉、契約書作成においては、「信頼できる」が「信頼できない」を上回る回答数を得ているが、「相手先の選定と相手先に関する十分な情報提供」「当方の企業経営、事業内容に対する理解とM&A取引への反映」について「信頼できない」とする回答が非常に多かった。

 

 

事業承継M&Aにおいては、特にこれまで中小企業経営者が従業員や顧客等ステークホルダーとともに作り上げてきた事業や会社に対しての敬意をもって、その意思と事業を第三者に承継する、ということへの理解をもって適切な仲介を行うことが重要であり、不動産や金融商品以上の注意をもって接することが重要と考えるが、そのようなソフトスキルにおいて特に不満が大きいことが明らかになった。

 

信頼できなかった際の具体的事例(フリーコメント)については、「相互の企業への理解と情報開示」「M&Aのプロセスマネジメント」「契約とその遵守」「企業価値算定」等のさまざまな分野に分けられるが、特に「契約とその遵守」において秘密保持義務に違反しているかのようなコメントが散見される点が注視すべきものと考えられる。

 

 

【3】今後の当プロジェクトにおけるリサーチ

 

事業承継M&Aリサーチプロジェクトとしては、今回のアンケート調査をもとにしつつ、さらに深堀したヒアリング等を行っていくことを想定しています。今回のアンケートの回答者126名のうち、70名が記名で協力しても良い、との協力的な回答を得ています。これらの経営者へのヒアリング等を行い、さらに現状分析、原因分析、解決策の提言等につなげていきたいと考えています。

 

これらの情報を適切に当局等との共有しつつ、2024年12月14日(土)に予定される事業承継学会年次総会(名古屋商科大学名古屋キャンパスにて開催予定)にてリサーチ結果を発表する予定です。

 

■本プレスリリースへのお問い合わせ

事業承継学会 事業承継M&Aリサーチプロジェクト
小林 博之(株式会社ソーシャルキャピタルマネジメント 代表取締役社長)
桐明 幸弘(株式会社インテグリティサポート 代表取締役社長)
吉村 正裕(株式会社サイバーアシスト 代表取締役社長)
(いずれも事業承継学会会員)

 

問合せ先
小林 博之

お問い合わせ


(フリーコメントに係る情報提供等、必要があれば上記お問合せページよりお問合せください)

以  上

 

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