241031 エシカル協会にてスウェーデンサステナビリティ視察ツアー報告会開催
2024-10-31
スウェーデン視察報告:「人の幸せ」を中心に据えた持続可能な未来
2024年11月1日、一般社団法人エシカル協会を主催とし、井関産業と当社が共同開催する形で、6月に訪問したスウェーデンサステナビリティ視察ツアーの報告会を九段会館テラスカンファレンス&バンケットにて行いました。
報告会にて
6月に当社の小林、井関産業の安並社長はじめ企業経営者等19名にてスウェーデンのマルメ市およびルンド市を訪問しました。この視察は、環境先進国としてのスウェーデンが推進する「持続可能性」をテーマとした都市計画や社会政策を学び、その根底にある考え方を探る目的で行われました。
視察を通じて最も印象的だったのは、環境、社会、経済の全ての側面を考慮する際に「人の幸せ」が最優先されているというスウェーデンのアプローチでした。
報告会は、7月にオンラインにて実施しておりましたが、「リアルで意見交換する場として開催してほしい」等の強いリクエストが寄せられていたことから、今回改めて開催したものです。
今回も40人を超える参加者を得て、このテーマについての関心が非常に高いことが裏付けられました。
人の幸せを中心に据えた持続可能性
スウェーデンの持続可能な取り組みの核となっているのは、「やらされてやる」ではなく、「自分たちが幸せに暮らすためにやる」という考え方です。この哲学は、環境、社会、経済の3つの領域すべてで一貫しており、それぞれの領域で人々の生活の質を向上させることを目指しています。
1. 環境:幸せに暮らすための自然との調和
環境政策の中心には、「人々が健康で快適に暮らせる環境をつくる」という目的があります。例えば、ルンドやマルメでは、再生可能エネルギーの利用や公共交通の整備が進んでおり、人々が日常生活で環境への負担を感じることなく快適に暮らせる仕組みが整っています。また、都市部でも公園や緑地が多く、自然と触れ合うことで心身の健康が促進されています。これらの取り組みは、ただ環境を守るためだけではなく、人々が幸せを感じる生活環境をつくることを目的としています。
2. 社会:公平で包摂的なコミュニティの実現
スウェーデンでは、社会的公平性と市民参加が重要視されています。政策決定プロセスでは、地域コミュニティの声が十分に反映され、誰もが取り残されない仕組みが構築されています。ジェンダー平等やワークライフバランスの推進も、すべての人が自分らしく生きるための土台として捉えられています。特に印象的だったのは、「市民が政策に参加することで、自らの生活をより良くしていく」という意識の高さです。これにより、幸福度が高く、持続可能な社会が実現されています。
3. 経済:人々の生活の質を高める成長
スウェーデンの経済成長は、環境技術革新や持続可能な産業によって支えられています。政府は企業に対し、経済的なインセンティブを提供し、環境保護と経済成長の両立を可能にしています。その根底にあるのは、「経済活動は人々の生活を豊かにするためにあるべき」という考え方です。例えば、スマートグリッドやゼロエネルギー住宅の普及により、経済的利益と生活の質向上が同時に実現されています。
(エシカル協会 末吉里花代表理事、井関産業 安並潤社長)
幸せを軸とした日本への応用
スウェーデンの哲学を日本に適用する際には、「幸せ」を軸にした以下の取り組みが重要と考えます。
1. 長期的視点に立った経営方針
企業活動において、短期的な利益追求に偏ることなく、顧客や地域社会の幸福を第一に考える姿勢が求められます。例えば、再生可能エネルギーの導入やエコ製品の開発など、環境と経済の調和を図る施策を進めることが望まれます。また、地域住民や社員が主体的に参加できる仕組みを整えることで、共感を生み出し、長期的な信頼関係を築くことが可能です。
2. 教育と意識啓発の強化
社員や顧客が環境や社会問題に対する意識を高めることは、持続可能性を実現するうえで不可欠です。スウェーデンでは、小学校教育から環境問題が重視されていますが、日本でも、企業内研修や地域コミュニティとの連携を通じて、意識啓発を進めることが必要ではないでしょうか。
3. 幸福度を測る指標の活用
スウェーデンでは、人々の幸福度が政策評価の重要な基準となっています。日本企業も、従来の財務指標に加え、社員や顧客の幸福度を測定する指標を取り入れることで、経営の質を高めることができるのではないかと思います。具体的には、従業員の満足度調査や地域社会への影響評価を定期的に実施することで、幸せに暮らせる社会に向けての動きを加速することができるのではないかと思います。
今後の展望
今回の視察を通じて明らかになったのは、「持続可能性」が単なる環境保護や社会的責任の枠を超え、「人々がより良い生活を送るための仕組み」であるということです。スウェーデンの取り組みから学ぶべき最も重要な点は、「人の幸せ」を最優先に考えるという視点です。この視点を取り入れることで、環境、社会、経済の調和が図られ、持続可能な未来が実現すると確信しています。
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ソーシャルキャピタルマネジメントでは、この視察で得た知見を基に、社員や地域社会と共に「幸せを創造する経営」を推進してまいります。持続可能な社会の実現は、我々企業にとっても成長の機会であり、新たな価値を生み出す挑戦でもあります。すべてのステークホルダーが幸せを感じられる未来を目指し、持続可能な経営に向けた具体的な行動を開始いたします。