241101 「三方よし経営」巻頭言に寄稿しました
2024-11-01
公益財団法人モラロジー道徳教育財団が発行している月刊誌「三方よし経営」の巻頭言として、「サステナビリティ経営と三方よし」というテーマで、小林のコラムを寄稿させていただきました。
その要旨は下記の通りです。6月に訪問したスウェーデンで学んだサステナビリティの考え方と日本で長年継いできたファミリービジネスが共通して大事にしてきた「三方よし」の考え方が根幹でつながっていることについて、お話しさせていただきました。
【巻頭言要旨】
私は金融機関での経験を経て、ファミリービジネスアドバイザーとして永続的発展を支援する業務に従事している。特に、時代の変化に応じた新規事業への挑戦や既存事業のリストラクチャリングが重要なテーマである。一方で、企業理念や創業の精神といった守るべき柱を大切にしながら、企業を織り成すべきとの考えを持っている。
このような観点から、私はサステナビリティ経営を改めて考えるため、6月にスウェーデンを訪問した。スウェーデンは、SDGsやジェンダー平等、環境対応で世界をリードするだけでなく、技術革新や競争力にも優れている。この国が環境、社会、経済の3つの要素をバランスよく両立させる背景を学ぶ中で、全員参加型の議論と意思決定のプロセス、小さい頃からの教育、自由に意見を言える風土、共有された情報、そしてリーダーシップの重要性が浮かび上がった。
特に印象深かったのは、サステナビリティへの取り組みが「義務感」や「世界のため」という外部要因に基づくものではなく、「自分たちの幸せの実現につながる」という強い信念と、それを進めるリーダーへの信頼に支えられている点だった。
私はサステナビリティを「長期的視点に立ち、顧客や地域社会、従業員などさまざまなステークホルダーが幸せに暮らせる状態をつくることを通じて、社会と企業の持続可能性を高めること」と考えている。これは、「三方よし」を重視する日本の老舗企業の「誠実」「信頼」「和」の精神と通じるものだ。ファミリービジネスでは、顧客や地域社会、従業員への愛情と幸せを願う姿勢が根底にある。
日本には世界で最も多くの長寿企業があり、これらの優秀な事例から学ぶべき点が多い。一方で、海外の先進的な事例や考え方を柔軟に取り入れることも重要だ。スウェーデンの知見は、既に「三方よし」を実践している企業にとっても大いに参考になるだろう。
こうした本質を再確認しながら、「三方よし」を実践する企業の成長と承継を支えることが、ファミリービジネスアドバイザーの使命だと確信している。