241206 石坂産業㈱ 経営特別プログラムに参加
2024-12-06
2024年12月6日、産業廃棄物処理・環境リサイクル事業を主力事業とする石坂産業㈱(埼玉県三芳町)にて「石坂産業プレゼンツ 特別プログラム」が行われ、小林が参加しました。その模様を含め、石坂産業の見学レポートにまとめさせていただきます。
(石坂産業の産業廃棄物処理プラント)
石坂産業の概要
石坂産業は、埼玉県入間郡三芳町に本社を構え、廃棄物処理やリサイクル事業を主軸とする企業です。1967年に建設廃棄物の中間処理業者として創業しましたが、代替わりを経て、環境への配慮や地域との共生に力を入れる企業へと変革を遂げてきました。特に、2代目社長である石坂典子氏の就任後、循環型社会の構築や地域貢献に積極的に取り組む姿勢が注目を集めています。
当初は解体工事や建設廃棄物処理を中心に事業を展開していましたが、成長の過程で粉塵や騒音などの環境問題が表面化し、また1999年のダイオキシン問題での風評被害もあり、地域住民との摩擦が生じました。これを受け、2代目社長である石坂典子氏が「地域に開かれた企業」への転換を図りました。大規模な設備投資により施設の近代化・環境対策を強化し、工場見学やオープンファクトリーの実施を通じて住民の理解を得る取り組みを進めました。
(環境ツアーを引率される社員さん)
環境教育への注力:
社内敷地には「森のリサイクル広場」と呼ばれる自然豊かなエリアを設置しています。ここでは学校や一般見学者に向けた環境教育プログラムを実施し、廃棄物がどのように資源へと生まれ変わるのか、そしてリサイクルの重要性について分かりやすく伝えています。
先端設備投資・技術開発:
粉塵飛散や騒音などの環境負荷低減に向け、最新の集塵設備や防音技術を導入しています。また、選別工程の自動化・効率化によって資源化率を高め、埋立処分量を大幅に減らすことで、持続可能な資源循環モデルを実現しています。
地域との共生・社会貢献:
近隣住民との対話を重視し、定期的に説明会や意見交換会を開くなど、地域との信頼関係構築に努めています。さらに、地域行事への協賛や雇用創出なども通じ、「地域に根ざした企業」として存在感を高めています。
(生物多様性でAAAの評価を受けている取組み)
評価・受賞歴:
これらの取り組みは、国内外で高く評価され、環境関連の賞やビジネスモデルに関する賞を多数受賞しています。また、その先進的な試みはメディアや書籍でも頻繁に紹介されており、循環型ビジネスのロールモデル的な存在となっています。
石坂産業は、廃棄物処理の枠を超えて、環境・地域・社会と調和する企業へと成長してきました。単なる廃棄物処理業者ではなく、持続可能な社会づくりを牽引する「資源循環企業」として、その取り組みは今後も注目され続けると考えられます。
(工場の壁に壁面緑化)
石坂産業のビジョン:Zero Waste Design
2050年、世界の人口は約100億人に達すると言われ、
天然資源はどんどん枯渇し、地球上の廃棄物の量は
今の2倍になると予測されている。
私たちは、天然資源を消費する社会に警鐘を鳴らし、
ごみをごみにしない社会を創ることを目指す。
大量生産・大量消費社会から、循環型社会へ。
この社会転換に不可欠なのが、石坂産業がVisionとして掲げる
「Zero Waste Design」
再生可能な設計・ものづくりをする社会を目指し、
あらゆるごみを資源として循環させ、
「ごみ」という概念そのものをなくす。
そんな光景を当たり前にするために、私たちは挑戦を続け、
循環のプロとして、地域を、社会を、牽引していく。
世界からごみがなくなり、再び資源となる日を目指して。
「Zero Waste Design」を通じて、
自然と美しく生きる、つぎの暮らしをデザインするために。
今次プログラムの内容
石坂産業は、2024年12月6に「石坂産業プレゼンツ 特別プログラム」を開催いたしました。このプログラムでは、代表取締役の石坂典子社長が「中小企業の企業価値を高める経営戦略」をテーマに講演を行い、参加者との質疑応答も実施されました。
(ご講演される石坂典子社長)
午前中には、減量化・再資源化率98%を誇る資源再生工場と、復元再生した里山の見学ツアーが行われ、環境問題の最前線に触れる機会が提供されました。昼食には、自社農園で栽培した有機小麦を使用した手打ちうどん御膳が振る舞われ、地元武蔵野の食文化を体験することができました。
(見学者、社員からの多くのワクワクコメント)
講演後の懇親会では、「くぬぎの森交流プラザ」にて、石坂オーガニックファームの有機野菜やハーブ、里山の野草を取り入れた料理がビュッフェスタイルで提供され、石坂典子社長や他の参加者との交流が深められました。
プログラムに参加して
石坂産業の見学は、2021年に日本跡取り娘共育協会メンバーにて訪問して以来3年ぶりとなりましたが、この3年間でさらにパワーアップしていました。環境・リサイクルの会社としては他社と全く異なり、ローカル企業であるにもかからわず理念・ビジョン、社長の経営姿勢などに共感した社員が性別・国籍を問わずあつまってきています。女性社員比率も40%を超え、多国籍の外国人社員も多く入社し、それぞれ大活躍されていました。私たちのツアーのガイドをしてくれた人はチェコから今年入社された方とのことでした。
こうした外国人社員は、日本の環境リサイクルにおける高度な技術を学び、母国に戻って母国の環境改善に貢献したい、という強い意思を持った人も多くいらっしゃるとのこと。
これを掛け合わせながら、完全にローカルビジネスとみられがちな産業廃棄物処理事業でもグローバル展開が展望できるところまで来ているように感じました。
ツアーや懇親会に参加された社員の方々は大変コミュニケーション力が高い方々ばかりでした。ビジョンに共感し、そのビジョンを実現させるのは社員一人ひとりにある、ということを強く実感され、そのコミットメントをもって仕事にあたっておられる様子がよくわかりました。