コラム・活動レポート

250912 かわしん創発塾 島根視察レポート

2025年12月23日 14:25

アースサポート×モルツウェル視察と由志園での学び 

2024年9月12〜13日、かわしん創発塾のメンバーとともに島根県を訪問し、地域を代表する2社、アースサポート株式会社およびモルツウェル株式会社を視察しました。また、日本庭園・由志園にて昼食と散策の時間を持ち、文化と経営思想を結びつける豊かな学びとなりました。 

■ 由志園で見た「地域文化と美意識」 

旅のスタートは大根島の名庭・由志園。四季を映す池泉回遊式庭園は、訪れる人の心を静かに整え、「自然と調和する」「手間を惜しまない」という価値観を感じさせてくれました。 
食材の持ち味を活かした昼食は、地元文化との対話そのものであり、参加者同士の関係性を深める場にもなりました。 

この「文化に触れる時間」は、地域企業が何を大切にしているかを理解する前提として機能し、現地視察に向けて私たちの感性を開いてくれました。 



 

■ アースサポート:3K産業を変革する「誇りの創出型企業」 

● 事業概要:地域インフラを支える産業廃棄物処理 

アースサポートは、産業廃棄物処理を中心とした環境インフラ企業です。 
建築・製造・物流など、さまざまな地域産業を支え、廃棄物収集運搬・中間処理・再資源化まで、一貫したソリューションを提供しています。 

産業廃棄物処理は、しばしば「3K(きつい・きたない・危険)」と見られがちです。しかし同社は、企業ブランディングと徹底した現場改善によって、社会的使命と働きがいを同時に高める稀有な存在となっています。 


● 採用成功の背景:誇りと見える化 

特筆すべきは、若手採用に成功している点です。 
背景には 

  • きれいで整理整頓された現場環境 

  • 役割やキャリアパスの明確化 

  • 社員の誇りを言語化する文化 

  • 「地域を支える仕事」に対する強い使命感 

があり、3Kイメージを覆し、選ばれる企業風土を築いています。 

現場には、危険を管理し、工程を整え、顧客と社会に貢献するというプロフェッショナルとしての誇りが満ちていました。 


● M&Aによる成長戦略と新規分野への挑戦 

また同社は、積極的なM&Aによる事業拡大にも取り組み、 
地域の処理インフラの統合と再編を通じて経営基盤を強化しています。 

さらに、太陽光パネルリサイクルなど新たな環境課題への挑戦も進行中であり、2050年に向けた循環資源ビジネスの先駆者とも言えます。 

「環境問題 × 地域産業 × 持続可能な成長」という文脈で、 
アースサポートは地域に根差しながら未来産業を切り拓く企業として存在感を発揮しています。 



 

■ モルツウェル:地域の食文化を磨き、世界へ届ける挑戦者 

● 会社概要と事業領域 

続いて訪問したモルツウェル株式会社は、「美味しさと誠実さ」を軸に、島根の食資源を活かした加工食品づくりを行う企業です。地元の海産物や農畜産物を用い、ギフト商品や高付加価値食品を展開しながら、全国・海外市場にも挑戦されています。 

同社の経営理念には、地域とともに歩み、島根の食文化を守り育て、次世代につなぐという強い思いが込められており、単なる食品会社ではなく“地域価値創造企業”としての役割が際立っていました。 


● 見学と対話から得た学び 

工場見学では、 

  • 原材料の選定基準の厳格さ 

  • 徹底した衛生管理 

  • 手作業を大切にした品質追求 

  • 社員が誇りを持って働く姿 

が印象に残りました。 

また、説明の中では、地方からでも世界とつながるマーケットを創れるという強い意志と、地域雇用を守り、循環型社会を目指す姿勢が示されました。 

「島根という小さなマーケットだからこそ、外に出ていく。だが、根っこは地域にある」という言葉が象徴的で、地方企業の新しいモデルを感じました。 

地方企業でも、文化・誠実さ・品質を柱に、全国・海外市場で戦えることを体現している企業です。 



■ 視察を通じて:地方企業に見る未来創造力 

両社に共通していたのは、 

  1. 地域に根ざした使命と覚悟 

  1. 生活と産業を支える「社会必須サービス」への誇り 

  1. 現場力×人材育成×挑戦のバランス 

  1. 地域資源を未来産業に変える視座 

  1. 若い世代が働きたいと思える文化づくり 

という、持続可能な経営の真髄とも言える要素です。 

■ 地域企業は“未来の日本”を映す鏡 

今回の視察は、地方企業が持つ底力と創造性を実感する機会でした。 
人口減少・産業構造転換の時代において、地域に根ざしながら未来に向けて挑戦を続ける企業こそ、日本の次のモデルを示していると言えます。 

参加された多くの企業経営者とともに、地域経営の未来を描いていく決意を新たにしました。