コラム・活動レポート

250523 かわしん創発塾・箱根合宿に参加

2025年12月23日 13:40

―AI時代にこそ必要な「人間起点」のマーケティングと対話の時間― 

 

2025年5月23日、かわしん創発塾の一環として開催された箱根合宿に参加しました。 
会場は箱根・仙石原。爽やかな初夏の空気と豊かな自然に包まれながら、塾生が集い、未来の経営と組織づくりを考える濃密な一日となりました。 

今回のメイン講師は、サイバーアシスト代表であり、吉村酒造6代目蔵元の吉村正裕さん。 

EC黎明期からの挑戦、事業変革、そして中小企業支援の現場に立ち続ける吉村さんのお話は、説得力と実践知にあふれていました。 

テーマは、 

「マーケティングの基本とブランディング 〜AI時代にこそ求められる“人間起点”の思考〜」 

AIやデジタル技術が発達する時代だからこそ、人間の感性・顧客理解・関係性づくりが一層重要になるというメッセージです。 


■ 「誰に」「何を」「どう売るか」を深く考える 

午前はマーケティングの基本を、午後はブランディングとSNSまでを体系的に学びました。 

プログラムは、講義とワーク、グループ対話がバランスよく組まれていました。 
内容は、配布資料に示された通り、ターゲット設定、顧客のインサイト理解、コンセプト設計、ブランドづくりまで具体的なフレームを学びました。 


  • ターゲットは“全員”では売れない 

  • お客様が買うのは商品ではなく“理想の状態” 

  • 競合を知らなければ、自社の価値は語れない 

  • SNSは“誰に何を届けるか”が第一 

当たり前のようで、日々の経営の中では忘れがちな視点。自社の事業を振り返りながら学ぶことで、理解が立体的に深まりました。 

特に印象的だったのは、「お客様の深層心理=インサイトに向き合う」という考え方です。 

吉村さんは、 

顧客が本当は何を求めているのか、本人も気づいていない気持ちに寄り添う 

と話され、マーケティングとは「釣り」に例えれば、魚の気持ちになることと表現されました。 

この一言で、マーケティングが“数字の分析”ではなく“人の理解”なのだと腑に落ちる感覚がありました。 

■ ブランディングは「心の位置をとること」 

午後はブランディングへ。 
「ナンバーワンではなくオンリーワンを目指す」「コンセプトは“言葉で未来を示す設計図”」という考え方に、多くの参加者が深くうなずいていました。 

ブランドアイデンティティのフレームや、セルフイメージづくりといったワークを通じて、自社の存在意義と顧客に与える感情価値を言語化する練習を行いました。 

「私たちはお客様からどう思われたいか」 
「そのためにどんな行動や言葉を選ぶべきか」 

これは、事業承継や組織文化づくりにも通じる重要な問いです。 

■ AI時代だからこそ、人の温度が価値になる 

今回、AIの話題も触れられました。 

  • AIは情報を処理できるが、愛はつくれない 

  • 人の“気づき”と“洞察”こそ競争優位 

  • テクノロジー×人間性=未来の経営基盤 

参加者同士の対話の中でも、 
「デジタルが進む中で、逆に人の魅力が問われる」「人と人がつながるコミュニティ経営が大切」という意見が多く交わされました。 

まさに、創発塾の存在意義とも重なり、人が集い、本音で語り、互いに刺激し合う場の価値を再発見する時間でもありました。 

■ 参加して感じたこと:経営は“人の心”を動かす営み 

今回の学びを通じて改めて感じたのは、 

経営とは、人を理解し、人の心を動かし、未来を共創すること 

ということです。 

ファミリービジネス、地域企業、組織づくり、そして個人のキャリア。 

どの領域においても、人間らしさ・関係性・共感が成功の核にあります。 

吉村さんの実践に触れ、参加者仲間の視点に触れ、創発塾という場の“ぬくもりと挑戦心”に触れながら、私自身の「人を大切にする経営支援」の原点も再確認することができました。 


 ■ 最後に 

今回の箱根合宿は、単なるマーケティング研修ではなく、自分と仲間と未来を見つめる学習体験でした。 

吉村正裕さん、運営の皆さま、そしてご一緒した塾生の皆さまに心から感謝いたします。これからも、創発塾の名の通り、創り・発し・つながる場として、共に学び、成長し、地域と未来を豊かにしていきたいと思います。