250728 ハイヤー部門管理職向け「会計・財務研修」を実施
2025年12月23日 14:11
―数字を読み、判断し、行動につなげる力を育む二日間―
2025年7月28日、タクシー会社のハイヤー部門に所属する管理職の皆様を対象に、会計・財務に関する実践研修を実施しました。本研修は「単に数字を学ぶ」ためではなく、現場の判断力と経営視点を身につけ、数字を行動に結びつける力を育てることを目的としたものです。
参加者の多くが、日頃は運行管理、乗務員の育成、顧客対応など、現場のマネジメントに全力で取り組んでおられます。そのため、数字がどのように会社の意思決定に結びついているのか、あるいは現場での仕事がどのように財務成果に反映されているのかを、体系的に学ぶ機会は多くありません。
今回の研修では、財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)の読み方から、グループ会社の中期経営計画、ハイヤー事業の収益構造、固定費と変動費の見方、損益分岐点分析、さらには顧客別収益管理の考え方までをカバーし、数字と現場マネジメントを結びつける包括的なプログラムとなりました。
■ Day1:会計・財務の全体像をつかむ
初日はまず、なぜ管理職が数字を理解する必要があるのかという根本からスタートしました。
「会社の業務を“おカネの流れ”で考える」
「経営は通信簿であり、数字は会社と投資家の共通言語」
この視点を踏まえ、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフローの関係と、企業活動がどのように財務数値に表れるかを解説。さらに、財務分析の基本と業種ごとの財務構造の違いを、クイズ形式で学びました。
資産構造から業種を推定するワーク
他業種の財務モデルを見抜くグループディスカッション
「数字=現場の仕事の結果」であることを理解し、 “数字は自分たちの言葉である”という気づきを得る時間となりました。
■ Day2:自社の数字に落としこみ、行動を考える
2日目は、学んだフレームを自社の財務に当てはめる実践編です。
まず、グループ全体のセグメント構造と資本コストの考え方を整理し、
「会社は資本提供者にリターンを約束している」
という視点を共有しました。PBRやROICといった指標が、日々の現場行動とつながっていることを確認しました。
続いて、ハイヤー事業のPL・BSを題材に、収益性・コスト構造・稼働率の関係を分析。
営業所別・顧客別収益の見方
固定費/変動費の構造
損益分岐点を下げる三つのアプローチ
(固定費削減/変動費効率化/単価向上)
さらに、営業所ごとに想定顧客を選び、顧客別ミニ損益計算書を作成する演習を行いました。
「売上をどうつくるか」
「何がコストで、何を改善対象とすべきか」
「具体的にどの行動を変えるか」
こうした問いを通じて、数字を根拠に意思決定する姿勢を鍛えました。
■ 現場ならではの気づきと意見
参加者から出た声:
「数字を見ながら、現場の工夫余地が見えてきた」
「稼働率や予約率を勘で捉えていたが、指標として意識したい」
「安全・品質と収益性の両立こそハイヤー事業の価値」
「営業所・顧客ごとのPLを考えると発想が変わる」
単なるコスト削減ではなく、安全・品質・信頼=価値を生むための投資と改善という視点が強調されました。
■ 研修を通じた学び:数字は“現場の武器”である
今回のプログラムを通じて、管理職の皆様が共通して実感されたのは、
数字は現場を守り、未来をつくるための道具である
ということです。
ハイヤー部門は、運行管理、安全管理、人材育成、顧客との信頼づくりという、極めて“人”の価値が大きいビジネスです。しかし同時に、固定費を抱え、稼働効率と単価が収益を左右する構造でもあります。
だからこそ、今後求められる管理職像は、
現場の状況と数字をつなげて理解する
データを根拠に判断する
乗務員と顧客の幸福と収益性を両立させる
経営視点で現場をリードする
という “人×数字”の統合型リーダーです。
■ 今後に向けて
本研修はスタートです。数字の理解を日々の管理業務に落とし込み、
KPIs の見える化
営業所ごとのミニPL
行動計画と振り返り
現場と経営の対話強化
といった仕組みづくりを支援してまいります。
現場から財務を強くする。
現場から経営を変えていく。
そのための伴走パートナーとして、引き続きご一緒します。