251008 Steward Leadership Summit 2025(シンガポール)に出席
2025年12月23日 14:55
このたび、ソーシャルキャピタルマネジメントを代表し、シンガポールで開催された「Steward Leadership Summit 2025:Creating a Collective Better Future」に出席いたしました。本サミットは、Stewardship Asia Centre(SAC)が主催する、アジア太平洋地域のリーダーが集う招待制の国際会議であり、政府指導者、グローバル企業経営者、社会起業家、研究者等が一堂に会し、より良い未来社会の創造について議論する場です。

私は2022年・2023年に続き、今回が3回目の参加となります。限られたリーダーだけが招かれるこの場に継続的に参画できていることは、当社が掲げる「人と組織と社会のハピネス循環の考え方にも通じるものもあり、大変光栄に感じています。
■ サミットのテーマと背景
今年のテーマは、
「Happiness and Compassion for Prosperity — 幸福と慈悲による繁栄」。
経済・政治・社会の不確実性がかつてないレベルに達し、AIや環境変動、新しい人口・世代構造、格差問題など、未来をめぐる課題が多面的に顕在化しています。その中で必要となるのは、短期利益の追求ではなく、長期的な視点と利他的精神を持ち、未来世代のために責任を果たすリーダーシップです。
SACはこの精神を“Steward Leadership”と定義し、「使命・持続性・公共性・共創」の4つを柱としています。
当社が提唱するスマイル循環/ハピネス循環型経営と極めて親和性の高い思想であり、今回も強い共鳴を覚えました。
■ Key Insights ─ 現地で得た主要示唆
本サミットでは、ブータンの幸福政策を支えてきた指導者による講演、アジア有数の老舗企業オーナーの対談、新興国の社会起業事例の共有など、立場や国境を超えた議論が展開されました。特に印象に残ったポイントは下記の通りです。
1)幸福と慈悲は「社会的生産性」である
幸福や思いやりは「優しさ」ではなく、組織の創造性・変革力・レジリエンスの源泉であることが繰り返し強調されました。短期成果主義や統制型マネジメントの限界が明確になり、信頼資本・関係資本が価値創造の基盤になる時代が到来しています。
2)ファミリービジネスはアジアのステワードシップの守護者
長期視点、地域との共生、次世代への意志継承。ファミリービジネスはスチュワードシップの思想と最も親和性が高く、社会の安定と革新を両立する存在として大きく注目されています。
当社が日本のファミリービジネスと向き合い続ける使命は、世界潮流の中でも重要性を増しています。
3)次世代リーダー育成は“内面の成熟”が核心
技術や戦略だけでなく、自己理解・謙虚さ・共感力・倫理観が未来のリーダーに不可欠であることが改めて確認されました。京都大学WELプログラムやFBAAでの取り組みとも通底し、われわれの方向性に強い確信を得ました。

■ 当社としての学びと今後の方向性
今回の参加を通じ、SCMが推進する「Happiness & Compassion for Prosperity」「スマイル循環経営」「永続的発展を支える次世代育成」というテーマの重要性がさらに裏付けられました。これを踏まえ、今後とくに以下に注力してまいります。
ファミリービジネス・地域企業の“未来志向型ガバナンス”支援
幸福学・倫理・感性を統合したリーダー育成プログラムの深化
共感資本・信頼資本を可視化する評価軸の開発
国際的なスチュワードシップ・コミュニティとの連携強化
“Doing well by doing good —善をなして繁栄する”という理念は、当社が常に大事にする考え方とも一致しています。今回の学びを事業・教育・社会プロジェクトに活かし、日本ならではの「Happiness & Compassion発の経営モデル」を発信してまいります。
最後になりますが、3年連続でこの招待制サミットにお声がけいただいたことに深く感謝申し上げるとともに、今後も実践を通じて信頼に応えていく所存です。
