【企業視察レポート5】村上開明堂
2019-10-05
企業視察レポート第5回は、静岡にある自動車ミラーのトップメーカー、村上開明堂を訪問させていただいた際の内容についてまとめさせていただきました。(日本ファミリービジネスアドバイザー協会の有志による見学会)
築地工場見学
見学させていただいたのは2012年に新設された築地工場。自動車用ミラーのカバーの成型・塗装、電装品の組立取り付けを行うミラー一貫工場。
従来は複数の工場に分散していたが、横持ちの物流費用を効率化し、スタートから完成までを一方向にスムーズに流すかを徹底的に考えて作られた同社最新鋭工場。
工場内のスローガンは「新時代に向けた業務改革を!」というもの。原材料歩留まりの向上(85%から97%に改善)、不良品率の削減(不良品がなくなれば廃棄も減る)など通じての環境対応強化を進める。金型の毎日交換、メンテナンス強化により不良品削減を推進。
工場は40%が女性。作業環境も改善すべく、空調、フリーアクセス、コミュニケーションエリアの設置等を行い、現場のコミュニケーションの促進にも努めている。
村上社長によるプレゼンテーション
当社は1882年設立で137年になる。現在では売上高737億円、営業利益71億円、従業員数3,000人にも。設備王氏、開発投資等も行いつつも営業利益率8%を維持している。
海外比率も高く、売上・利益とも約50%が海外(売上高:アジア23%、北米15%)。
国内シェアは40%で1位、海外シェアは7%で4位となっている。
【沿革】
当社は飾り金具に始まり、国鉄の東海道本線工事に向けてカンテラを製造することになったのがガラス関連に進出したきっかけ。明治30年には鏡台を扱うようになった。
3代目社長のときにガラス会社としての地位を確立、4代目社長のときにバックミラーの製造を開始。ブリキ→ガラス→バックミラー と主力事業を変化させ続けてきた。
バックミラーは、1958年当事は鏡部分のみだったがその後完成品納品のオーダーが入り、大きな挑戦であったが1962年に金属加工技術を習得。現在は高機能化。
【社長の使命とは】
社長の使命は、①グローバルで勝ち残る企業に成長させること、②第2、第3の柱を創ること。
社長就任時(2008年)は、工場も小規模なものが点在し、利益も出ない負け組だった。
グローバルで勝ち残るために国内の再編が急務と考え、3つの改革を断行。
(1)不採算事業からの撤退
(2)建材の分社化、売却(伝統の事業で思い入れもあったが)
(3)国内工場再編
【100年を超えて会社が存続していくためのポイント】
「企業は人なり」の精神
役員を親族で固めていてはダメ。外の血、知恵を入れること。
すべてファミリーでは限界がある。
社員の登用は、学歴ではない。実社会に出てどれだけ成長できるか、力があれば上に上がれる。それは男女も高卒・大卒もない。やる気のある人間なら活躍の場はある。
【新規事業の考え方】
世界的な社会課題としての環境がキーワード。今まで培ってきた技術を活かせるものを開発していく。今まで捨てていたものが役立つ例として発泡ガラスも手掛けている。