なぜ女性の事業承継支援が必要か

2021-04-28

企業戦略コンサルティング、事業承継支援、SDGs浸透支援など「企業とそこで働く一人一人が輝くためのサポート」を幅広く行うソーシャルキャピタルマネジメントです。
 
私たちの活動の一つに女性の事業承継支援があります。企業の事業承継は一大イベントですが、経営者にとっては「娘に継がせる」という選択肢が“そもそもない”あるいは“あまり意識されていない”ことが多く、女性の事業承継に対する理解やサポートがまだまだ発展途上という現実があります。そこで私たちは2019年5月に「日本跡取り娘共育協会」を設立し、女性の事業承継に対する様々な支援を継続的に行っています。今回はその取り組みについてあらためてご紹介したいと思います。
 

「日本跡取り娘共育協会」発足の背景

 
「日本跡取り娘共育協会」の発足は今から2年前の2019年5月になります。近年女性の社会進出が加速し、企業の中でも責任ある立場で働く女性が増えてきましたが、彼女たちを取り巻く社会環境には課題が多いことも事実です。特にファミリービジネス(家業)の事業承継に関しては、まだまだ息子に継がせるのがあたりまえ、というイメージが根強く、娘に継がせるということについてはまだ理解が十分に進んでいません。そして女性の“起業支援”は存在しているにも関わらず、女性の事業承継支援がないことも問題としてあります。このような状況を少しでも改善するために、私たちは予てから教育機関などで女性の事業承継者育成を行なってきました。昭和女子大学キャリアカレッジにおける「跡取り娘養成コース」が代表的なものです。

ただし、ここでは深い学びが実現されますが、事業承継を行っていく方々にとって、まあ美だけでなく仲間づくり、お互いに話をしながら自分の考えを整えていく場も重要だということが見えてきました。もっと女性の事業承継者同士が繋がり、悩みや思いを共有するコミュニティがあってもいいのではないか…このような思いから「日本跡取り娘共育協会」はスタートしました。
 

女性の事業承継はこんなに大変!


 
女性の事業承継のハードルの高さは、以下のような要因が考えられます。
 
1.親世代における「後継者は男性を中心に考える」という根強い伝統的な意識

2.家業を持つ女性の結婚の際に遭遇する配偶者、および配偶者の親における心理的抵抗感

3.結婚して夫の姓に変わることの経営・業務への影響

4.父親と同様のマネジメントスタイルでの経営への躊躇

5.女性の事業承継者が少ないことに基づくロールモデルの不足

6.女性独自の問題を踏まえた事業承継支援に向けた枠組み、アドバイザーの不足
 
これらを一つ一つ解決させていくためには、女性を取り巻く社会環境の整備だけではなく心理面なども含めた多角的なアプローチが必要になってきます。特に1、2に関しては親世代や男性に根強く残る偏見をなくし、抜本的な意識改革が必要になってくるでしょう。他にも女社長としての素養を身につけるための学びの提供や女性承継者同士のコミュニティの構築など解決するためにできるアクションはたくさん考えられます。いずれも時間がかかることではありますが、私たちが根気強く提言し続けることで状況は明るくなると信じています。
 

女性の事業承継の先にある未来とは?


 
女性が事業承継した先にも様々な課題が待っています。先代の社長つまり親に代わり経営者としてのスタートを新たに切るわけですが、これまでのやり方を踏襲するのか、あるいは新たなやり方を構築していくのか選択を迫られるところでしょう。保守的な社員もいれば革新を好む社員もいるはずです。起業とは異なり、一から事業を立ち上げるということではありませんが、その分過去から受け継ぐさまざまな資源を活用することが必要になり、そこには起業とは異なるチェンジマネジメントが重要になります。
 
マネジメントスタイルにも悩む方が多いです。創業者である父親は、自分がなんでも一番よく知っていて、それをもとに社員にトップダウンで指示をする、というスタイルであるとして、跡取り娘さんから見ると、「私は社員よりものを知らないし、なんでも自分で決めるのは無理」と感じてしまいます。そこで「私には経営は無理なのではないか・・・」と逡巡してしまう場面にも遭遇します。

しかし、実際にはそうではないのです。一人一人、違ったマネジメントスタイルで大いに結構。お父さんと同じスタイルでなくても、自分らしく経営できればそれでいい、むしろ今は社員と積極的にコミュニケーションをとって、社員に自分で判断して行動してもらう、というような経営の方が、社員がイキイキと働き成果につながっている、という会社も多いです。

昔ながらのトップダウン型の経営手法や社長のカリスマ性によって成立する経営スタイルではなく、社員の個性を尊重し、「サーバントリーダーシップ」を発揮する、そして会社で働く一人一人が能力を最大化することによって業績が伸びるような企業としての新しい在り方がこれからの時代に求められているのではないでしょうか。
 
このような女性たちが、自分らしいマネジメントを考え、自信をもって経営にあたっていけるように、これからも支えていきたいと思います。

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