231209 事業承継学会にて「女性事業承継におけるアンコンシャスバイアス問題」について発表

2023-12-09

 

2023年12月9日、事業承継学会の第14回年次大会が京都・同志社大学にて開催されました。今回のテーマは「事業承継のための企業戦略」。下記のような幅広いテーマでの発表があり、多くの参加者とともに活発な意見交換がなされました。

・「事業承継のための企業戦略」
・「事業承継とネットワーキング」
・「ファミリーアントレプレナーシップ」
・「中興の祖」発現メカニズムの研究
・「家元制度(観世家の事例研究)」
・「事業承継結婚における個人の幸せと事業承継の両立」
ほか

 

小林は日本跡取り娘共育協会代表理事の立場から、「女性事業承継におけるアンコンシャスバイアスの現状と課題」というテーマにて学会発表をいたしました。

 

今回の発表に至る経緯としては、2023年6月の政府の「女性版骨太の方針」に掲げられた「地域・中小企業における女性活躍の促進」というカテゴリーで「企業経営者等のアンコンシャスバイアスの解消・行動変容を促すコンテンツの開発・普及」という取組みが記載されたことにあります。

 

この取り組みの中で暗黙の了解となっているのは、「アンコンシャスバイアスを持っている(男性)経営者の意識改革」にあります。しかし、そもそも女性経営者がもっと増えること、特に事業承継において女性が経営を承継するケースがもっと増えれば、会社を変えていく大きな原動力になるのではないか、と考えました。

 

ではその「女性が継ぐこと自体に、アンコンシャスバイアスに基づく弊害はないだろうか?」と問題設定し、女性経営者・後継者を対象としたアンケート調査を行い、女性経営者・後継者が感じているアンコンシャスバイアスを明らかにしたい、というのが今回の研究の趣旨です。

 

 

実際のアンケートは、日本跡取り娘共育協会を中心に、日本ファミリービジネスアドバイザー協会(FBAA)、家業イノベーションラボ、静岡県女性経営者の会 A・NE・GOのご協力をいただいて行いました。さらに、女性経営者・後継者だけでなく、男性経営者・後継者との状況の違いも把握するために、エヌエヌ生命保険がさらに広い範囲でのアンケート調査を実施し、それに共同参画する形となりました。

 

アンケートを通じて、女性経営者・後継者が実際にアンコンシャスバイアスに基づく言動を受けた事例は回答者の58%にのぼりました。具体的な言動は、下記のようなカテゴリーに分けられました。
・「承継者はふつうは男性」という思い込み
・「家庭のことは女性がやる」という思い込み
・「女性経営者を低く見る」バイアス

 

一方で、女性であることを活かして行動する芯の強さを見せる方々もいらっしゃいました。

 

社会全体でのアンコンシャスバイアスの解消、改善により、男性・女性の差なく誰でも活躍できる会社創りによる企業の永続的発展を目指すために、経営者自身の意識・行動変革、社内での意識・行動変革に加え、女性が会社経営を担える環境醸成の一層の進展、先代・旧世代の意識・行動変革を促す、といったアクションが重要と問題提起いたしました。

 

今後、ソーシャルキャピタルマネジメント、日本跡取り娘共育協会では、政府関係機関、メディア等への働きかけを含めて実施し、これを単なる調査にとどめず、社会実装に向けた取組を推進してまいります。

 

 

(会場となった同志社大学今出川キャンパス良心館)

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